Chunankai を吸ってみた

中南海 の喫煙感想

 日本向け中南海ではオリジナルポジションに位置するTar15mg。紙巻「中南海」を吸ってみた。


銘柄概要

 製品名としては「中南海」と、ブランド名そのままな名称を充てられているTar15mgの中南海です。日本で展開する中南海のラインナップでは最高タール数値を有する仕様とも相まって、中南海のオリジナル的ポジションを担っているような特性となっていますね。

 そして、今でも覆ること無く私が一番に大好きな煙草です。

 中国の煙草市場は日本の煙草市場とは大きく異なるために大手も他社もないのですが、この中南海は上海煙草の北京工場である「上海烟草集团北京卷烟厂」というところが生み出した煙草なのだとか。煙草葉は中国産100%使用となっていて、もちろん製品としても中国製。その名に「中南海」という中国ゆかりの地名を冠しているあたりも、何とも中国銘柄らしさに溢れる要素として個性を演出していますね。

 その「中南海」という場所は、日本で言うところの「永田町」のような場所であるらしく、中国共産党の本部や政府要人の居住区などがあり、そこから転じて政治的権力やらの比喩としても使われる地区名でもあるのだそうな。

 そんな中南海という煙草の最大の特徴は「漢方エキスをブレンドしている」というものであり、痰の切れを良くすると謳われている「甘草」のエキスと、血流を良くすると謳われている「羅布麻草」のエキス、それらの漢方エキスを煙草葉に添加して独特の味わいや効能を謳っていたりするのです。しかしながら、この中南海も漏れ無く煙草ですし、喉などに少なからず悪影響を与えるだろう「タール」と、血液関係に少なくとも悪影響を与えるだろう「一酸化炭素」を含むことに変わりはありません。あまり効能がどうだと期待するよりも、それらの漢方エキスによる独特の味わいを楽しむことに重んじた方が、それこそ正しく嗜好品として大いに楽しめるような気もします。

 ちなみに、この中南海の製造で使用される「漢方添加技術」は、中国を始め各国で特許を取得しているのだとか。

 中南海のパッケージ底面には「专供出口」という表示がありますが、これは「輸出専用」といったような意味で、製品が国外向けの輸出用であることを指すとか。BOXという言葉に添えられているからといって同じ意味ではないということですね。日本国内で出回っている中南海には、漏れ無く記載されている表示です。

 このTar15mgの中南海のフィルターチップにはコルク柄のものが使用されていて、巻紙には「中南海」のロゴと「流水音」という文字がスタンプされているのです。どうやら「流水音」というのは中南海の別名なのだとかなんとか。これが何とも非常に絢爛な雰囲気を漂わす素敵なシガレットデザインで、とっても中国煙草らしい異国情緒を感じさせてくれる独特の嗜好品らしさに溢れていますね。確か、中南海でコルク柄のフィルターチップを使っているのって、この煙草だけだったような気がします。

 ちなみに、日本人向けにアレンジされているということもあってか、フィルターにはチャコールが使用されたチャコールフィルター仕様となっているのです。

 また、中南海の外観的特徴の一つとして、シガレットの巻紙にはロットナンバーのようなものが刻印されているのですが、箱に詰められている20本の全てが同じ刻印であったため、当たり前かも知れませんが1本あたりのロットナンバーではない模様。

 とりあえず、この刻印が無いものは偽物ということなのでしょうね。


吸ってみた感想・味・香り

 この煙草は、とっても素敵な煙草。

 まず、気になるシガレットの香りですが、漢方エキス添加などの特殊仕様から想像していたよりはスタンダード寄りに思える香りなので、そこまで意外性は覚えなかったかな。煙草らしい甘さに少し癖のある黒蜜のようなリコリスの甘さがマッチした心地の好い香りであり、その香りは程々に量感も豊かとなっているので、中々に火を点けずとも楽しむことが出来ましたね。

 喫味の方は、とてもTar15mgという高タール仕様とは思えない吸いやすさを持ち合わせた質感と独特の甘味が絶妙な味わいの煙草となっていて、多くが「中国の煙草」からイメージするような雑味やイガイガといった質感の粗さなどは全くありません。非常に吸いやすい質感は日本人向けのローカライズも確かに実感することが出来る味わいとなっているのです。

 何より、甜茶のように独特な攻め方ながら心地の良さが抜群の甘味が非常に素敵な煙草で、忘れられない煙草である最大の要素だったりします。人によっては「中南海ごときで?」なんて思われることを悲しいながら否みはしませんが、この煙草は私にとって非常に思い入れのある煙草であり、何を言われようが自信を持って「素敵な煙草」と知らせることの出来る煙草なのです。専門学校の喫煙所で疲れも吹っ飛ぶくらいに感動したことは、私の短い愛煙人生の中でも非常に鮮明に覚えている何にも代えがたい経験。

 まぁ、一緒に一服していたラッキーストライクを愛飲する香港出身の留学生には「なんでそんなもの吸ってるの?」と言われましたけれど、焦るように「すごいぞ!この煙草!ラッキーストライクなんて吸っている場合ではない!」と言い返しましたが、今に思い返すと中々に変な感じですね。お互いに、国籍は何処よ、と。

 でもね、それだけ素晴らしいと思った煙草なのです。

 ただ、好奇心の先行でコレばかり吸っているには留まれず、他の銘柄を転々様々に吸ってみて、ふと気が付けばTar15mgの中南海は市場から消えていました。まずは落ち着き取り敢えずで、今でも市場に残っているライトなどといったタールバリエーションを試してはみましたが、まるで別物と感じる喫味には大きく驚き、ため息混じりに落胆したものです。あのリコリスによる素敵な独特の甘味が、異国情緒の溢れるデザイン性が、兎にも角にも失われていたのですよ。

 残されていたのは「吸い易さ」だけ。マイナーチェンジによるのかライト化によるのか、それは定かではないのですが、これらのタールバリエーションはステレオタイプ的な「優秀さ」こそ非常に極まりを見せたくれたものの、他の多くの洋モクと同じように没個性感も否めない差異のある味わいだったのです。

 では、輸入代行業者でも使って本国で販売されている同等品を購入しようかとも思いましたが、私の喫した中南海の特性の一つとして「日本人向けローカライズ」という仕様がある点に引っ掛かりを覚え、偽物流通の懸念と相まって未だに踏みきれずにいたりします。恐らく、日本国内向けに展開される中南海のラインナップは、常にマイナーチェンジを繰り返して真摯に日本人向けへと味わいの改良を図っているのだと思うのですが、私にとっては完全に裏目に出てしまったようです。

 この煙草は、確実に美味い。

Nutrition Facts
Serving Size: 1 Cigarette
Tar15mg Nicotine1.3mg
Don't smoke until you are 20 years old.lol


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