Natural American Spirit Turquoise を吸ってみた

ナチュラル・アメリカン・スピリット・ターコイズ の喫煙感想

 水色のレギュラーとマルーンカラーのオーガニックがニコイチにされたような煙草。紙巻「ナチュラル・アメリカン・スピリット・ターコイズ」を吸ってみた。


銘柄概要

 ノンオーガニックのレギュラーとマルーンカラーのオーガニックが廃止され、後釜となるようにラインナップされた「ターコイズ」と冠するアメリカン・スピリットです。銘柄には「ターコイズ」と冠されるのみですが、その内容はTar12mgとなっています。同じくオーガニック仕様でTar6mgの「ゴールド」と並び、リニューアルされたオーガニックシリーズを構成する一つなのですね。

 そんなオーガニックシリーズは、巻かれる葉に添加物を使用しない「無添加たばこ」というジャンルの大御所でもあるアメリカン・スピリットでも、さらに葉の栽培時から農薬すら使用しないことによる「完全無添加」をウリにするシリーズです。これは逆説的に言えば、このシリーズ以外のアメリカン・スピリットは葉の栽培時には農薬を添加しているということなのでしょう。

 ちなみに、ただでさえ栽培に難が多いとされる煙草葉は、無農薬栽培ともなると非常に手間の掛かるものだと思いますし、すごいですよね、この煙草を作り上げる根幹に属する人たちって。敬意を表します。

 また、そんな無添加仕様の他にもアメリカン・スピリットならではの「煙草葉25%増量」などといった特徴も踏襲されているため、完全に上位互換のようなシリーズともなっていますが、今回のシリーズリニューアルにより価格は他のアメリカン・スピリットと同価格に改訂されたという太っ腹な志向性。ジャケ買い愛飲者や無添加信仰な愛飲者に支えられていた一方で、近年ではブランドのウリである「燃焼促進剤の無添加」と「煙草葉25%増量」という特徴による「燃えるの遅い」なコストパフォーマンスに惹かれるユーザーを獲得し、うなぎ登りに伸長するアメリカン・スピリットです。このオーガニックシリーズの改革により、今まで「オーガニックは高いからなぁ」とか思って敬遠していた者を取り込み、さらに伸長するのでしょうか。気になるところです。

 タールバリエーションであるゴールドも同様なのですが、この新オーガニックシリーズはボックスの天面のデザインが通常のアメリカンスピリットとは異なるのです。お日様と喫煙中のインディアンのロゴがボックスの天面にもレイアウトされています。お国柄から考えると、この日は赤色ということで夕日なのでしょうね。

 新オーガニックシリーズは製品名にも具体的なタールバリエーションの質を示す「ライト」などの表記はありませんし、その代わりにカラーネームでバリエーションを成している様は、かなり欧米的デザインを踏襲した製品となっているようです。

 どれだけのバリエーションがあるのかは知りませんが、ボックス背面の長ったらしい能書きは新オーガニックシリースにも採用されています。私が手にした今回の商品は「いい味が、詰まっている」と題して「煙草葉25%増量」の旨が記載されていました。この特徴こそ、近年の大幅な伸長に一役を買った理由なのでしょうね。

 ちなみに、サイドの能書きは図解タイプではなく箇条書きとなっていて、煙草葉25%増量は削除されていたのです。

 ところで、このアメリカンスピリットの名物とも言える「能書き」なのですが、ちょこちょこと添削が行われていますよね。背面の大々的で長文な能書きは最近になって追加されたものですが、サイドの能書きは昔よりデザインされていて、それがまた胡散臭い添削を繰り返していたりするのですよね。皆さんも「あれ?あの表記が無くなったぞ?」みたいな経験はありませんか。

 中包装紙は最近のアメリカン・スピリットに倣って「ペーパーインナーライナー」となっていました。ここ最近では旧フィリップモリスなんかでも採用されている仕様で、従来の銀紙と同等程度の保存効果を有する特殊な紙とのことなのです。かなり厚手で、まるで紙とは思えない素材ですね。

 ちなみに、その旧フィリップモリスの理由に倣うのであれば「銀紙の製造エネルギー」を嫌っての変更と思われます。アメリカンスピリットらしいエコロジー志向の現れとも言えますし、ここを終着点として据えていたのなら躍起だったソフトパックの廃止も納得かな。

 色々と変遷はあれど、シガレットデザインは「相変わらず」といったところですね。コルク柄フィルターチップに金のラインと巻紙にはコンドルシンボルのスタンプで、良く言えば「御馴染み」なのですが、恐ろしいくらいに新製品感はありません。こだわりなのか無関心なのか、こうも変わらないというのも珍しいのでは。

 また、空気穴は小さめのものが1列で配され、フィルターは旧オーガニックとは異なり旧レギュラーに倣うかたちでチャコールフィルターとなっています。


吸ってみた感想・味・香り

 この煙草は、なるほど水色のレギュラーとマルーンカラーのオーガニックの代替といった仕上がりとなっているのです。

 無添加仕様ゆえに香料も無添加なシガレットの香りは、以前の水色のアメリカン・スピリット・レギュラーと大きな違いも感じない香りですね。特別にオーガニックと言えども使われている葉は同じようなものと察しますし、無添加ゆえに香料の差も無いので当たり前なのかな。

 ただ、やはり無香料だとしても香りが薄すぎるために煙草の楽しみを一つ欠いている気もしますが、そこはアメリカン・スピリットらしい御愛嬌ということですね。というより、アメリカンスピリットに「香り」とか期待している方がいるのかも微妙なところ。比べると、ややターコイズのシガレットの香りには「甘さ」を強めに感じられますが、ドングリのなんたらです。

 喫味の方は、以前のマルーンカラーのオーガニックと比べると少し質感が柔らかくなっている印象があり、ピリ辛な要素が薄らいで甘さが程好く感じられます。何となく煙の「あたり」と言った質感の面は亡レギュラーに近いソフトな感じに傾向しているように思えるですが、それなりにオーガニックシリーズらしいメリハリのあるボディ感を喫味に持ち合わせてもいますね。そのため、ノンオーガニックなアメリカン・スピリットのように薄く気味の悪い味わいとはなっていない点には、私的に好印象を覚えるのです。

 また、突出した辛味というピーキーな味わいでキレの良さを演出していたマルーンカラーのオーガニックとも異なり、その辛味というピークを丸くして甘味を際立たせている味わいは中々に優秀と思えるバランスの良さを感じられるのです。水色のレギュラーともマルーンカラーのオーガニックとも異なるのですが、なるほど両者の後継製品として相応しい、何とも絶妙な落とし所に落とされた味わいとなっていますね。このオーガニックシリーズはリニューアルにより価格も改訂されましたし、ターコイズとゴールドでタールバリエーションもフレンドリーになりました。もはや、ノンオーガニックのアメリカン・スピリットなんてメンソールでなければ価値も微妙なのではと思えてしまう程にブラッシュアップされている様は非常に良い感じの煙草。

 また、このターコイズはライト版となるゴールドと比べると空気量が少ないこともあり、出だしからパンチのある質感にて味わいを楽しめます。そんな感じで、アメリカン・スピリットらしく味わいに起伏こそ少ないものの決して淡白平坦とは思えず、中々に分かりやすくも味わい甲斐のある仕上がり。

 ただ、後半は甘味が少し際立つのですが、高タール製品ということもあり同時にヤニっぽさも少し強めとなる点は、やや好き嫌いも別れそうかな。

 総じて、煙が濃いだけで味わいは淡白平坦な特徴の無い味わいが特徴のアメリカン・スピリットにしては、中々に濃厚な味わいを楽しめる煙草です。遅めの燃焼速度も、この味わいなら苦行とはならないでしょう。今までは「遅めの燃焼速度」という市場が独壇場であったアメリカン・スピリットも、ロングテイストやらロングタイムを持してJTが本格的に参入を決したようなので、その武器だけではオイソレと売れなくなりそうですが、このオーガニックシリーズは「味わいともに」と新たな軸となりそうです。

 私的には、アメリカンスピリットはメンソールライトこそベストと言うに覆るまではいきませんが、ノンメンソールでアメリカン・スピリットを楽しむなら間違いなく新オーガニックシリーズを選びます。だって、ノンメンソールでノンオーガニックのアメリカンスピリットって非常にツマラナイな嗜好品なんですもん。ガンガンに薄めた酒に「量が増えたからイイ」なんて思えないのと同じ。今後、各社の「燃えるの遅い」な銘柄が増えるのだとしたら、なおのこと味わいで選びますし、20Lの酒が同じ金額で買えるなら1Lの酒を水割りして20Lにするなんて愚行には及びません。

 何はともあれ、このターコイズは中々に上出来な、比べて嗜好品らしい仕上がりのアメリカンスピリットなのでした。

 ただし、やはり「薄ら気味の悪い煙が平坦に呈される」という印象に変わりはないため、変われどもアメリカン・スピリットと言ったように、私的には何とも微妙な気持ちにさせてくれる煙草でもあります。諸々による長い喫煙時間も、これなら要らないかな。

Nutrition Facts
Serving Size: 1 Cigarette
Tar12mg Nicotine1.4mg
Don't smoke until you are 20 years old.lol


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