Treasurer Slims Black を吸ってみた

トレジャラー・スリム・ブラック の喫煙感想

 愛煙家なら知らないとは許されないブランドの、いわゆる廉価版。紙巻「トレジャラー・スリム・ブラック」を吸ってみた。


銘柄概要

 「世界で最も高価な煙草」として知られ「贅を尽くした究極の煙草」をポリシーに1999年のロンドンで生まれた「トレジャラー」というブランド。それは上質なバージニアリーフを使用したシガレットとしてのクオリティも然ることながら、パッケージングまで高級感を演出する、何とも妥協の無い煮詰まった仕上がりが特徴的なブランドなのです。

 そして、そのトレジャラーの高級レシピを活かして派生したシリーズこそが、この「スリムシリーズ」となっています。2000円台で展開される本家の「トレジャラー」から、1000円台で展開される「トレジャラー・ラグジュアリー」へと続き、三番手を担うシリーズが「トレジャラー・スリム」ということで、2016年の現在では最廉価シリーズに位置していますね。銘柄には外国銘柄らしくカラーネームで「ブラック」と冠するのみですが、その実はTar8mgのシガレットです。同じように「ゴールド」と冠するTar5mgとともにバリエーションを構成しています。

 そんなこんなで「世界で最も高価な煙草」の「最も安価な煙草」なのです。おおよその20本詰めシガレットよりは少しだけ高価ではありますが、それほど差も無い金額で本家トレジャラー譲りレシピが購入可能というのは嬉しいことではないでしょうか。

 パッケージ形状はコーナー切り落とし形状の八角形パッケージとなっていて、詰められた100'sサイズなスリムシガレットのために細身となっている箱は高級感も満々。実際のシガレットの太さは一般的なスリムシガレットよりも少し細めとなっていて、スリムサイズとスーパースリムサイズの中間くらいという珍しい仕様となっています。そんなパッケージのサイズ感は、同じくスリムサイズと謳う「ピアニッシモ」や「バージニア・S」なんかと比べると、それらよりも更に小振りとなっているのです。これは、欧州の銘柄に多く見られる仕様ですね。

 光沢感のあるテクスチャーは要所で使用されているものの、全体的に何と特別なこともないシンプルなパッケージなのです。そのデザイン性は非常に高く、銘柄の持つキャラクターに違いの無いパッケージデザインとなっています。

 また、ありがちな高級感や高品質を謳うメッセージなどは全く配されておらず、余計な文言などが無いパッケージからは「言わずとも分かるだろう」という自信のようなものが窺えてきますね。小振りなくせに落ち着いた佇まいが素敵。

 このトレジャラーを製造するメーカーは「The Chancellor Tobacco Company (UK) Limited」というイギリスのメーカーです。パッケージの要所に配されているロゴマークは、同社のカンパニーシンボルマークなのです。ところで、このメーカーって他にも擁するブランドってあったりするのでしょうか?

 中包装紙に留まらず、インナーカットですらゴールドカラーでデザインされたパッケージの内部は、やや嫌らしいゴールド感かな。なんかアレですね、形状やら何やらで「ジャックポット」や「レイディー」を思い出すような内装なのです。よくよく考えれば、パッケージ形状とか雰囲気が似ているといえば似ていますし。

 シガレットは巻紙にフィルターチップと全身を黒にて統一されていて、差し色はゴールドカラーで意匠が施されているのです。空気穴は小さめが間隔を広く2列で設けられていて、フィルターはノンチャコールのプレーンフィルター仕様となっています。外観を除けば、至って仕様的にはスタンダードなシガレットといったところでしょうか。


吸ってみた感想・味・香り

 この煙草は、確かにブランドラインナップでは価格を抑えているものの、しっかりと高級銘柄に納得な仕上がりの煙草と言ったところ。

 まず、シガレットの香りですが、なるほどバージニアリーフな瑞々しい甘さの香りです。加香も極端に控え目か施されていないであろう様を容易に察する、素材感の強い香りとなっていますね。同じくバージニアリーフ主体なピースや中華とは同じキャラクターでありながら、アクセントを排したような様が少し異なる印象を与える、文字の如く「煙草らしい香り」となっているのです。

 ちなみに、カートン開封時にパッケージから香りを感じるほどなので、量感は豊かな香りとなっているようです。

 喫味の方も、これまたラグジュアリーな仕上がり。やはり加香は施されていないのか、ピースや中華のような華々しい感じはありません。しかし、ボディは非常に重厚であるためにTar8mgというライト煙草な感じが全く無く、何よりコクが豊かに感じられるテイストとなっています。

 これは香料などによる加香されたような分かりやすい味わいではないので、進んで感覚を使わなければなりませんけれどね。どっしりとしていながら苦味などの雑味が全く無い上質な仕上がりの味わいと質感は、とっても味わい深い奥ゆかしさがあります。それでいて、まるでクドさを感じさせない吸い易さも持ち合わせていているのですよ。心の底からラグジュアリーな気分に浸れる、何ともイメージに味わいと互い違いの無い煙草ではないでしょうか。

 また、加香を感じさせない「煙草感」が活きた味わいとなっているため、もちろんコーヒーや茶といった他の併せモノとの相性も良いのですが、繊細な味わいであるように思えるため、是非とも煙草のみで堪能したい味わいに思えますね。

 何だろうな、真摯に煙草として驀地(ましぐら)な印象に、同系統のピースや中華とは異なる高級感を確かに感じられる煙草となっているのです。味わいに迫力ある仕上がりながら、決して力任せではないために野暮ったさは皆無であり、もう本当に素敵な煙草。私的には、完全にパーラメントやブラックデビル・ゴールドの上位互換みたいに思えます。それも、大差も無い価格のわりに格の段違いは遥かに。程好く糖度の高い上質な素材の味わいを重厚かつストレートに堪能することが出来る、非常に本格的なシガレットとなっているのです。この糖度感を、このクオリティにて楽しめるなら、むしろ価格に関しては「安い」と言えるでしょう。

 燃焼も程好く緩やかで、否応なしにクールスモーキングを心掛けたくなる雰囲気と相まって、絶妙な一服を挺してくれる仕上がりにも非常に好印象。紫煙の香りも品のある甘さで良し。

 総じて、加香とは一味違う豊かな煙草感に陶酔させてくれる、香り深いコクと糖度感のに抜群の豊かな甘味がラグジュアリーな味わいの煙草です。同じような志を持つ製品は多くとも、それらとは一味違ったり段違いであったりと、中々に個性の活きた煙草となっているのです。もちろん、それは「風格」という個性であるため、決して流行りもののような分かりやすい個性ではありませんが、これほどまでに深層で楽しめるシガレットは希少なはず。

 いや、もう、全てにおいて素敵。これだけのフルボディ感ながら、上々な質感による吸い易さもあり、そんな美味さと親しみやすさから立て続けに本数を重ねてしまいそうながら、1本でスッと一服の幕を閉じたくなる、とってもオトナな煙草なのでした。

 絶対に、オイルライターなんかで着火してはいけません。着火の際は、是非とも上質なガスを詰めたガスライターで。それが英国製なら、より気分も上々に。

 廉価版と言えど、とっても気持ちを穏やかにしてくれる、何とも楽しみ甲斐のある煙草でした。重厚感の後に遅れてやってくる甘味が良いんだ、こいつは。

Nutrition Facts
Serving Size: 1 Cigarette
Tar8mg Nicotine0.8mg
Don't smoke until you are 20 years old.lol


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