Black Jack Super Slim 5 を吸ってみた

喫煙に関する内容を含みます



 概要:葉巻「ブラックジャック・スーパースリム・5」の喫煙感想



 フォルテに続くように発売された低価格リトルシガー。葉巻「ブラックジャック・スーパースリム・5」を吸ってみた。


 煙草の値上がりが続く中で打ち出された「低価格リトルシガー」という新ジャンルは、フォルテのリリースから始まった伸長も著しい新市場です。そのフォルテに続いて新たに低価格リトルシガーとしてリリースされたブランドが、このブラックジャックなのですね。

 このブラックジャックは、あたかもフォルテに続き競合代理店がリリースした銘柄のように思えますが、実のところはフォルテと同じくインターコンチネンタル商事が代理店を務めるブランドだったりします。あまりのフォルテの調子の良さもあり、競合が付け入る隙を与えまいと、更なる囲い込みを画策したような感じでしょうか。

 ただし、インドネシアで製造されるフォルテとは異なり、ブラックジャックのメーカーはKT&Gとなっています。要するに、ブラックジャックは韓国の煙草ということですね。

 ちなみに、ブラックジャックは他の低価格リトルシガーとは異なり、一部を除いて製品のタール数値を思わせる数字を銘柄に冠していたりもします。この煙草の場合は「ブラックジャック・スーパースリム・5」という銘柄なので、Tar5mgほどの感覚で楽しめることが分かりやすく表現されているのです。

 また、この他にもTar1mgの感覚で楽しめるタールバリエーションや、Tar6mgの感覚で楽しめるメンソール版が同時リリースされています。低価格リトルシガーの中でも低タール志向であるため、わりと取っ付きの良さが最大の売りなのでしょう。

 この傾向は、同じくKT&Gが製造するボヘームシガー・ミニというリトルシガーと似ていますね。

 取り分け、ここ最近で急に認知が広まったリトルシガーは、葉巻と同様にタール数値が公表されていません。こと紙巻以外に親しみの薄かったユーザーは、低価格に惹かれながらもタール数値の未公開が気がかりとなっているのかも知れません。タール数値を気にする方も多いと思うので、この点は非常にフレンドリーなのです。

 何はともあれ、競合の中では最も紙巻の代替という毛色の強いブランドです。気になる方も多いのではないでしょうか。



 ダメージレザーを模したかのような柄のデザインが、中々に特徴的なパッケージですよね。ロゴの部分は光沢加工が施されていて、全体的にもダメージレザー柄に合わせてエンボス加工が施されています。

 イメージとしては、古いギターのハードケースのような感じ。

 何と言うのか、ケースやシーンによっては少し痛いと思われることもありそうなくらい、かなり尖った印象を覚えさせるパッケージデザインなのですね。コテコテのロッカーやバイカーといった印象が強い気がします。




 パッケージの正面と背面には、Tar5mgのシガレットと似たような感覚で喫することが出来ることを消費者に伝えるかのごとく数字の5がレイアウトされています。このブラックジャックがカテゴリーされるリトルシガーは基本的に葉巻に倣いタールやニコチンの計測数値を表記していないため、これは消費者にとっても有り難いと思える配慮かと思います。

 取り分け、これら格安リトルシガーは、葉巻の代替というよりも紙巻の代替という向きが強いため、かなり要領の良い設計なのです。

 また、パッケージ正面には「INSPIRED BY BLACK BEARD & CALICO JACK」と記載されています。

 Black Beardは、俗にいう「黒髭」と呼ばれるイギリスの海賊ですね。本名その他は多くが不詳とのことですが、いわゆる海賊のテンプレートとも言える人物なので、とても有名かと思います。パイレーツ・オブ・カリビアンもといカリブの海賊やワンピースなど、海賊の黄金時代をモチーフとする作品において定番のキャラクターともなっていますしね。

 Calico Jackも、同様に海賊であるJohn Rackham(ジョン・ラカム)の俗称です。交差する2本の剣と髑髏の海賊旗や、手下に男装した女性船員がいたなど、パイレーツ・オブ・カリビアンでも彼に関わる多くの話がオマージュされていたほど、黒ひげと並び有名な海賊なのです。

 そして、このブラックジャックにもジョン・カラムの海賊旗を思わせる2本の剣がデザインされていますし、何よりBLACK JACKというモンタージュ的な銘柄です。かなり海賊文化を意識したブランドであることは明白でしょう。

 あと、パッケージ背面に「BLACKJACK OFFERS RICH TASTE AND EXOTIC AROMA(ブラックジャックはリッチな味わいとエキゾチックな香りを提供します)」と記されているので、何やら香りに個性がありそうな雰囲気も漂わせていますね。



 ブラックジャックはスーパースリムなキングサイズシガレットの規格を採用しているので、パッケージ形状はハーフラウンドの薄型KSパッケージとなっています。ケントのナノテックシリーズなんかと同様のパッケージ形状ですね。

 薄型ハーフラウンドという形状は胸ポケットなどへの収まりも良く、私的に好みなのです。




 パッケージサイドには製造元であるKT&Gのロゴと、反対側には20 Class A Filter Little Cigarと20本詰めのリトルシガー製品であることが控えめに表記されています。一般的には、多くのリトルシガーではCigarsやLittle Cigarsという表記が多く、わざわざフィルター付きであることを付記したFilter Little Cigarという表現は少し珍しい印象ですね。

 まるで紙巻煙草に倣ったかのような表現であり、このブラックジャックがリトルシガーでありながら葉巻ではなく紙巻の代替として販売されている意向の強さが窺えます。

 また、メーカーであるKT&Gは、先の通り韓国の大手煙草企業です。日本の大手であるJTが煙草と塩の専売公社を前身とすることに対し、KT&Gは煙草と朝鮮人参の専売公社が前身となっているようです。朝鮮人参は、それこそ日本の歴史にも病に効く漢方として度々と登場するアイテムなのです。

 今はキムチの国ですけれどね。その頃は朝鮮人参の国なのです。何でも、病だけではなく国交にも大きく作用した非常に高価な代物であったそうです。




 中包装紙は、近年の環境問題の観点から注目されているペーパーインナーライナーとなっています。従来のアルミ素材の中包装紙と比べ、同程度の性能を有しながら製造時の消費エネルギーを削減することが出来るとして採用され始めている素材なのです。

 そして、シガレットの方は、茶色いフィルターチップにリトルシガーならではの「シート葉」と呼ばれる茶色い巻紙が印象的なものとなっています。そのシート葉というのは、煙草葉を加工して作られる煙草葉ベースの特殊な巻紙なのです。要するに、形(なり)はシガレットでも、煙草葉を煙草葉で巻いているので葉巻に倣った扱いとなるわけです。

 また、全体的なサイズ感としては、正にケントのナノテックシリーズです。見た目こそ印象は大きく異なりますが、スーパースリムのキングサイズシガレットとサイズ感は大きな違いもありません。

 ちなみに、やはり紙巻煙草を意識しているのか、フィルターはチャコールフィルターとなっています。これは、比較的リトルシガーでは珍しい傾向の仕様と言えるでしょう。


味・香りについて感想



 この煙草は、かなりシガレット感覚で楽しめるような煙草となっているのです。

 まず、巻きの香りですが、リトルシガーのわりには思うほど主張も控えめな香りとなっていますね。まるでココアやミルクチョコレートを思わせる、穏やかで優しく甘い香りが楽しめます。リトルシガーの巻きの香りはピーキーなものが多い印象ですが、この煙草は紙巻煙草のような塩梅と思わせる香りとなっているのです。

 うっすらとレーズンなどのような少し尖った香りも感じられるので、極端に平凡や平坦といった印象とも異なる点も良いところです。中々に楽しめます。

 そして、喫味の方ですが、これは韓国製品らしいというのか、KT&Gらしいリトルシガーというのか、はたまたチャコールフィルターが効いているというのか。とてもマイルド&スムースな印象を強く覚えさせる軽喫味なリトルシガーとなっています。

 同社のボヘームシガーというブランドにラインナップされているリトルシガーも同様でしたが、そこらの紙巻煙草よりも喫味そのものは至極マイルドと思えるでしょう。まるで完全に濾過されているかのごとくヤニっぽさやエグミなどは存在せず、ほんのりと煙草らしい心地の良い味わいのみが軽快なボディに残されているような感じですね。

 かなりシガレットを意識したのだろうと思わせる出来となっているため、葉巻やリトルシガーらしい濃さやコクなどは控えめです。しかしながら、全体的に雑味が全く感じられないため、ほんのりとした甘さとコクが相対的に浮き出ているようなバランスと思えるでしょう。

 少しだけ気になる点としては、あまりに紙巻煙草を意識し過ぎたのか、それと似た酸味が少し目立つ点でしょうか。明らかに葉巻やリトルシガーのソレとは異なるシガレットらしい酸味が、控えめな他の要素と比べて浮き立っているような印象なのです。

 ただ、そう嫌に思うほどのものではありません。

 とにかく、尋常ではない取っ付きの良さです。そして、尋常ではないくらいマイルドなリトルシガーなのですが、思いのほかボディは良い感じの肉付きなので、意外と楽しめてしまいますね。なるほどTar5mgという程度も納得なのです。

 何と言うのか、淡白な味わいなのだけれど、淡白ゆえに、ほんのり程度でもコクと甘さが際立っているような印象です。これは、完全に「引き算」による完成品といった感じで、最低限の量にて肝だけを呈するような煙草なのです。

 全体的には同社の製品らしさが際立っていて、かなり優等生傾向なキャラクターとなっているため、分かりやすい個性のようなものは感じられないかも知れません。ただし、いわゆる「飽きずに愛飲できる系」という味わいなので、印象は淡白にも関わらず妙に惹かれてしまう絶妙な味わいなのです。

 また、喫味における香りは味わい同様に非常に淡白なのですが、それをカバーするように紫煙の香りが良い感じです。人工的な印象ながら決して嫌な印象を覚えさせない、かなり好印象の甘い香りとなっています。その焼き菓子のように甘い香りが中々に主張も強いため、やや華に欠ける喫味に対して良いアクセントとなっているのです。

 総じて、リトルシガーだと思って期待すると、それは裏切られてしまうかも知れません。しかしながら、デイリーユースの紙巻煙草の代替として考えると、目立って欠点となりそうな要素も無く良い感じです。

 ちなみに、リトルシガーでチャコールと言うと、それこそJTアイメックスも得意としている組み合わせですよね。ただし、リトルシガーらしさをメインに裏方職人のようにチャコールが仕事をする傾向のJTアイメックス銘柄とは異なり、KT&G銘柄はチャコールのキャラクターが完全に主役となる印象です。この点も、この煙草がリトルシガーでありながら紙巻煙草のように思える理由に一役を買っているのでしょう。

 ざっくりと言ってしまえば、アレです。傾向としては、ケントのSシリーズにラインナップされているリッチテイストに近いキャラクターの喫味と思えました。ほんのりと鼻腔を抜ける良い香りが、かなり近い印象を覚えさせることかと思いますよ。

 後半は少しだけコーンのような香ばしさが現れ始めますが、基本的にマイルドな喫味は始めから終わりまで目立った起伏もありませんしね。吸い方の次第で荒れるということも無いので、終始スムースな印象も同様です。喫煙後の後味もリトルシガーを喫したとは思えないほど淡白ですし、それは多くの紙巻煙草と比べても淡白なものです。

 ということで、クールスモーキングを心がけても良いのですが、チャコールフィルターが強烈であるのか、フランクに喫しても味わいが目立って崩れるということはありません。このような点も相まって、かなり紙巻煙草の代替という印象を強く覚えさせるところです。

 というか、クールスモーキングを怠ったところで突出してくるような雑味が、そもそも含まれていないような感じです。

 アクの出ないマイルドな味わいを良しとするか、アクも出ないようなものに旨味は無いと捉えるか。優等生は扱いやすいと捉えるか、優等生なんて付き合ってもつまらないと捉えるか。その辺の価値観で好き嫌いは大きく分かれそうな煙草なのでした。

 ものすごく疑問に感じたことは、喫した後にパッケージを見返した時ですね。喫している最中は完全に記憶の彼方と、どこにも海賊的な要素は感じられませんでしたから。ことインスパイアされたという黒髭もキャリコも、テンプレ的な海賊もとい殺人鬼とされていますからね。

 やや、パッケージを見返した時にダメージレザー調のデザインと2本の剣のモチーフに違和感を覚える優男系な煙草なのでした。

Nutrition Facts
Serving Size: 1 Cigarette
Tar---mg Nicotine---mg
Strictly No Taking. Don't smoke until you are 20 years old.lol


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