中華 を吸ってみた

中華 の喫煙感想

 思想を名に冠し、パンダに次ぐ中国の高級シガレット銘柄。紙巻「中華」を吸ってみた。


銘柄概要

 特徴的なキャラクターでも有名な「パンダ」という高級銘柄に次ぐ「中華」という中国の高級銘柄。同じく中国銘柄として有名な中南海と同様に「上海烟草集团」が製造する銘柄で、パンダのように曰(いわく)が付いたりの面倒なバリエーションは無い様子です。過去には日本でもブラックデビルの取り扱いでも知られる「柘製作所」が代理販売を務めて国内展開していた時期があり、見知り馴染みのある方もいるのではないでしょうか。

 そんな中華は免税店では細々と展開が続くものの、とうに柘製作所では代理販売を終了しているため、一時的に国内では姿を潜めていたような煙草でもあります。ただ、ここ最近では中南海を取り扱うことで有名な「太豊通商」が代わって国内展開を開始したことで、再び局所的ながら展開されているのだそうな。何故に「局所的に」と言うのは、どうやら今回の太豊通商による再販は、最近のニュースでも賑やかに報じられていた中国経済の大発展に伴う「中国人観光客による爆買い」に焦点を絞った、正に「爆買い」のための再販という点にあるのです。

 そんなこんなで、今回の中華は概ね「中国人観光客観光地域」をメインに販売される傾向があるのだそうな。もしくは、日本人観光客をターゲットにして中国の文化を特色とする日本人観光客の集客地域などでも販売されていそうですね。神奈川県を例に挙げると「横浜中華街」なんかが後者としてメジャーなホットスポットだったりしますし、中国人観光客が買い物に利用しやすい大型量販店なんかでも取り扱っているかも知れません。ある意味、観光人気のステータスとでも言いましょうか。

 ただ、今回は太豊通商による超独自流通となっているため、相変わらず「入手性は低そう」とだけは言えそうなのです。あまり日本人喫煙者はターゲットとされていない流れもあるので当然かも知れませんが、何はともあれ中華が再び正規の流通にて買えるというのは嬉しいこと。

 ちなみに、中国は日本と煙草市場の在り方が異なるため、今のところ煙草に一律な価格というものは存在しないそうのです。そんな中で、この中華は概ね本国では日本円にして千円弱で販売されているのだとか。これは日本で例えるところの「ザ・ピース」に匹敵する価格設定が施されている銘柄ということですね。このことから、中々の高級っぷりが見て取れるでしょう。それでも、日本では少し価格は下がり「760円」での展開となっているため、やはり「爆買い」にターゲットを据えている感じかな。

 煙草の内容としては、バージニアリーフを活かしたブレンドのプレーンフィルターシガレットとのことです。高価な価格設定や接待に贈答という本国での使われ方を鑑みれば、中々に上質なバージニアリーフを使用しているのかも知れません。中華にはソフトパックなどのバリエーションも存在しますが、こちらはボックスパッケージとなっています。

 いわゆる本国的表示に倣うと「中華(硬)」という製品になります。

 有名中国銘柄の中南海とは異なり、中国感というか、中華思想感満載のパッケージは非常に異国情緒の溢れるデザインとなっているのです。おおまかなデザインとしては、赤地に差し色の金で銘柄名と中国特有の建造物を大胆に配したものとなっています。特に高級志向や記念志向の中国銘柄に多く見られるデザインの傾向ですね。

 パッケージ正面には「天安門」のイラストが配され、背面には天安門の両端や天安門広場の所々に配されている「華表」のイラストが配されているのです。

 あまり馴染みの無い「華表」というのは、いわゆる日本で言うところの「鳥居」みたいな役割の建造物で、参道の入口に配される中国文化の一つ。正面の天安門のイラストは「毛沢東の肖像」や「万歳スローガン」が省略されているため、何だか少しだけ違和感を覚える天安門の図となっていますね。

 縁取りのみならず、まさかの警告文も豪華に金色で記載されています。これこそ無駄に贅沢な仕様と言えるのではないでしょうか。何だか金と赤の色差なのか、もはや飾りのようにしか見えない警告文の様は、意外とデザイン性に優れた配色なのかも知れませんね。そもそも、仲良しこよしで付き合わされてる大人の事情欄ですし。

 中国の煙草といえば、何といっても「偽物」というネガティブファクターは付いて回るものらしく、この中華は高級銘柄ということもあり本国では少なからず偽物も横行しているのだとか。中華で指が吹っ飛んだ話とか、わりと有名ですよね。

 ちなみに、その対策ということもありパッケージサイドには真作であることを証明するためにメーカーよりホログラムが設けられています。光の加減で「中华」と浮かび上がる贋作対策なのです。

 インナーカットや中包装紙は至って普通な様相となっています。しかしながら、開閉部内側の縁という不思議なところに「中華」のデザインが施されているのですが、これも偽物対策だったりするのでしょうか。

 昔に吸った無印の中南海を思い出す、何とも中国銘柄らしい素敵なデザインのシガレット。独特の風合いを持つフィルターチップであり、巻紙には豪華な多色スタンプというコンビネーションなのです。とっても素敵な嗜好品らしい様が非常に良い感じ。空気穴は肉眼では確認が出来ず、フィルターはプレーンタイプ。


吸ってみた感想・味・香り

 この煙草は、何だか、もう「何これ、すっごく美味いんですけど」と言った感じ。Tar15mgの中南海を喫した時の感動を上回る衝撃なのです。

 まず、シガレットの香りですが、この香りから既にハイクオリティで、果実のような瑞々しさを感じさせてくれる甘酸っぱい香りが心地の良さを覚えさせてくれます。トレジャラーやらピースやらと同系統の香りであり、なるほど高級銘柄にも納得の香りですね。ただ、それらと比べると酸っぱさの主張が少し強めな点に個性が感じられます。

 で、火を点けることも忘れそうになるくらいシガレットの香りを楽しんだら、お次は喫味なのですが、これもまた非常に良いですね。今時の流行りモノのように何と分かりやすいフレーバーで誇張されているわけではありませんが、上質な煙草らしい甘味と香ばしさが非常に豊かに感じられ、とても味わい甲斐のある煙草となっています。

 また、Tar12mgという高タール製品としては無理も無く順当とも思えるスペックではあるものの、国内で普及しているメジャーな近似タール数値の銘柄と比べると味わいの豊かさもあります。中々にコッテリとした重みのあるボディ感となっているのです。しかも、プレーンフィルターという比較的ストレートに煙草の味わいを楽しめる仕様も相まって、洋モクも含め国内で普及する多くのチャコールフィルターシガレットとは一線を画するノンマイルドな味わい。それでいて、単機能的なプレーンフィルターでありながら刺々しさなどを含まない上質な質感にて煙を呈する上質感。

 煙に内包されているものが広がりも良く豊かなために、多くのプレーンフィルターシガレットにありがちな「輪郭ばかりが際立つ」といったアンバランス感も無く、非常に優れたバランス感の味わいと質感。非の打ち所はありませんね。この手の高級銘柄と横並びになるような没個性化も無く、中国らしい大味感という野暮ったさも少しは感じられながら、それが見事に良いアクセントとなっています。嫌に小綺麗に収まる感じを与えない絶妙な指し色となっている点も好印象。綺麗な雑魚といった「はんなり」に落ち着かず、絢爛に仕上げられた喫味にはパワフルな味わい深さがあるのです。

 紫煙の香りも、とっても香ばしいですね。喫煙後の余韻も、非常に強く香ばしさと甘味が残り、中々に堪能することが出来ます。

 総じて、高級銘柄の肩書きにも納得の上質な甘さと香ばしさが豊かな味わいの煙草です。質感も豊かな味わいをフルで活かすように優しく障らない上質感で、量感にも程好くパンチ良しと、正に絢爛に御機嫌な味わい。これは国内普及品を例に言えば、ピースが好みなら間違い無く気に入る煙草なはずです。ピースの華やかにキャラクター付けるためのプラスアルファな要素を除き、より本来の香ばしさや甘味を際立たせたような煙草に思えますしね。

 分かりづらい表現であることは百も承知ですが、ピースは「華やか」で中華は「絢爛」と言った感じなのです。総合的に繊細な喫味の中に豊かさを覚えるピースに対して、この中華はエネルギッシュな量感にも溢れる個性を感じる煙草といったところ。この両銘柄は対比させると中々に面白く思えますし、これは「お国柄」と言うか「国民気質」が反映されていることが実感も出来て楽しかったりします。

 ちなみに、マールボロやラッキーストライクにセブンスター等々と、マイルドに主軸を据え、その中で味わいを打ち出しているような煙草が好みであるのならば、中華の溢れるパンチや量感は余計なものと感じてしまうかも知れません。

 何はともあれ、とっても良い煙草なので、入手性は確かに難アリですが、関心と体力があれば一服の価値は大いにアリなのです。私的には感動も一入(ひとしお)に、何だか昔に喫したリコリスの甘味に際立つ個性の中南海が恋しくなってしまいました。Tar15mgの中南海、本当に感動したなぁ。

 よくよく思えば、私が心底に感動した煙草って、中国銘柄ばかり。なんなんでしょうね。

Nutrition Facts
Serving Size: 1 Cigarette
Tar12mg Nicotine1.0mg
Don't smoke until you are 20 years old.lol


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