Camel Box を吸ってみた

喫煙に関する内容を含みます


 概要:紙巻「キャメル・ボックス」の喫煙感想



 低価格帯路線で復活したキャメルのTar12mg。紙巻「キャメル・ボックス」を吸ってみた。


 キャメルといえば、オールドジョーという名のラクダのキャラクターと独特な喫味が特徴の銘柄で、かつては北米のRJレイノルズが擁していたグローバルブランドですね。

 それから紆余曲折を経て、同社が日本たばこ産業の傘下となり、日本市場向けはオリジナルブレンドへと変更されたり、挙句には人気の低迷と未曽有の大震災による工場被災で国内向けは廃止となり、それでもコアなファンのためにとドイツ製のヨーロッパ向け銘柄が国内でも流通し始めたりと、本当に紆余曲折という言葉が似合うようなブランドなのです。

 そして、ここ最近では各社ともに低価格路線の銘柄がヒットしている最中で、このキャメルも低価格路線の新規ラインナップがリリースされていることは有名かと思います。スタートはノンメンソールTar6mgとメンソールTar5mgの銘柄からリリースとなり、遅れてTar12mgの当製品がラインナップされることとなりました。


 これはやはり、同セグメント向けのラッキーストライク・エキスパートカットのTar14mgなどの客層を狙ったものとも思えますが、日本たばこ産業は税制改正の影響による旧三級品の製造中止ななどのファクターもあるのでしょう。時勢とは少し逆行しているとも思える紙巻の高タール銘柄をリリースなのです。

 あ、旧三級品は廃止とはなるものの、一部はリトルシガーとなってブランドを存続させるようですね。




 初回パッケージは外装フィルムに「¥400」と低価格であることを大きくアピールするプリントが施されていますが、パッケージの基本的なデザインは既存の低価格帯キャメルと変わりがないようです。高タール銘柄という事もあってか、カラーリングはキャメルらしいサンドカラーのようなものとなっていますが、背景にデザインされたCAMELの隠し文字など、パターンは同様となっています。

 このシリーズでは、最もキャメルらしい印象のパッケージですね。



 で、です。

 問題はパッケージサイドにあり。

 これまでの低価格キャメルシリーズには無かった表記が確認できます。その内容は画像の通りで、フリップトップ部分に「A PRODUCT OF JT INTERNATIONAL MADE IN TURKEY」と表記されているのです。



 JTインターナショナルは、いわゆる日本たばこ産業の海外版のようなもので、本社はスイスのジュネーブだそうです。キャメルを擁していたRJレイノルズを買収した際に、本格的な海外戦略のために設立した会社なのだとか。

 日本たばこ産業はアメリカ・ロシア・中東・東南アジアなどなど、各国の煙草メーカーを買収していますからね。こういうのが必要なのでしょう。

 そして、TURKEYは言わずもがなトルコ共和国の通称です。この場合は七面鳥ではないでしょう。

 何が言いたいのかというと、このキャメル、トルコ製なのですよ。

 先にリリースされているキャメル・ライト・ボックスとキャメル・メンソール・ライト・ボックスは日本製でしたが、これは何故かトルコ製。



 反対側も、確かに日本たばこ産業株式会社は「輸入元」となっています。先にリリースされているキャメル2銘柄は日本たばこ産業の製品に共通する記し方で、普通に社名とロゴのみでしたから。やはり、このキャメル・ボックスでは、あくまで日本たばこ産業は輸入元のようです。

 詳細は分かりませんが、これらから分かることは「トルコ製のJTインターナショナル商品が日本たばこ産業によって日本国内で輸入販売されている」ということですね。

 何故このような体制なのかは分かりませんが、考えられることといえば、やっぱり電子タバコのことで忙しいのですかね。外国企業と異なり日本たばこ産業はシガレット市場も捨てられないけれど、今はプルームテックシリーズも出揃って色々と手が足りないのでしょうか。

 もしかすると、そんな最中でトルコの工場で都合の良い既製品があったのかも知れません。「そういえば、あそこのアレ、流用できるんじゃない?」みたいな。

 しかも「キャメルでトルコなら、きっと受けも良いんじゃない?」みたいな。

 オリジナルのキャメルはターキッシュブレンドという、癖のあるオリエント葉の割合が大きいブレンドを採用していたということで、こだわるマニアも多いそうなのですね。

 ただし、日本たばこ産業の広報では、あくまで「吸いやすいアメリカンブレンド」とのみアナウンスされていますので、どのような葉組なのかまでは知る由もありません。

 とりあえず、トルコ製のキャメルなのです。

 ※既に発売していたキャメル・ライト・ボックス(青いやつ)とキャメル・メンソール・ライト・ボックス(緑のやつ)は、現段階では特に表記も無いので、普通に日本たばこ産業が国内自社工場で製造している製品と思われます。




 インサーターには「ゆるコピーアワード」と題して、ゆるい言葉が贈られていました。先行の2銘柄が発売した際にも、似たような向きのインサーターが同封されていましたね。

 今回の私の場合は・・・。

【テーマ:忙しいときの気分をゆるめるコピー】
 電源が入らない。パソコンじゃなくて きょうの自分。

 ・・・でした。

 確かに気分が乗らない時というのは往々にしてあるものです。無いという人は、人の助けに気付いていないか自惚れ屋か、その気になって空回りしている人か、自己管理が出来ていない人でしょう。

 私の場合は、好きでもないコーヒーを飲むと、とりあえずスイッチが入ります。

 ただ、まぁ。このコピーの場合は忙しい時の気分をゆるめるコピーというよりも、既に緩んでいる時のコピーですよね。そのあたりも込みで、ゆるい。



 シガレットデザインは、キャメルらしくコルク柄のフィルターチップを採用したシンプルな印象のものとなっています。

 また、大きな特徴としては、珍しくもチャコールを使用しない単一のプレーンフィルターが使われているという事でしょう。これまでの国内生産の低価格キャメルとは異なり、トルコ製品を輸入して販売しているという事もあり、先のドイツ製キャメルと似たような流れを汲むかたちとなっているのです。

 これにより、国内で容易に手に入れられるシガレット銘柄としては、数少ない海外の味わいを楽しめる煙草となっているのだろうと考えることが出来ますね。

 マールボロにせよ何にせよ、国内で流通している多くの洋モクは、そのほとんどが日本市場向けにローカライズされていますから。このトルコ製キャメルやドイツ製キャメルは、正にリアル洋モクと呼べるかも知れません。

 ちなみに、空気穴は申し訳といった程度となっています。


味・香りについて感想


 この煙草は、何とも癖のある味わいが先行の2銘柄とは大きく異なる印象の煙草となっているのです。

 まず、シガレットの香りですが、かなり強めに香る印象です。煙草葉らしい植物的な青臭さも多分に含まれる一方で、オーソドックスなシガレットらしい甘辛い印象の香りも強いですね。それぞれが調和してというよりは、ダブルパンチというようなバランスの香りとなっています。

 何というのか、今までのキャメルらしさは皆無といったところで、ふと私の脳裏に思い浮かんだのは「ラーク」でした。

 喫味の方も、これまた非常に独特な味わいとなっているのです。

 とりあえず、先に発売されているキャメル・ライト・ボックスとは、そもそも根底からキャラクターが異なるといった印象の味わいとなっているのです。まるで単なるタールバリエーションのようにシリーズのラインアップに加わりましたが、その実はキャラクターも全く異なる煙草といった印象ですね。

 まず、始めの一吸い目から旨味の強いパワフルな味わいがフルボディで呈されます。ほんと、これは純粋な煙草葉の旨味といった味わいで、この価格で、この味とはと驚くほどです。その奥に、わずかに香ばしい甘みが感じられます。

 プレーンフィルターということもあってか、ほんの少し苦みも走りますが、ほとんど気にはなりませんね。

 火種がシガレットの中盤を超える頃には、プレーンフィルターというシンプルな構造ゆえか、吸い方に気を付けないとピリピリとした刺激や辛みが突出しがちにはなりますが、これは吸い方でどうとでもなる次第です。

 何よりも、この煙草は旨味が特徴的です。日本たばこ産業は「すっきりとした味わい」と広報していますが、これは納得と疑問も表裏一体で、雑味の少ない味わいには確かに納得なのですが、かなり旨味の強い肉厚なボディゆえに、あまりすっきりとは思うこともないでしょう。

 後味も、かなりコッテリと煙草らしい旨味が強い余韻として残りますからね。

 これがまぁ、まず万人受けはしないだろうという味わいです。この点も、完全に万人受け路線で無難な味わいに仕上げられているキャメル・ライト・ボックスとは大きく異なる点でしょう。

 総じて、低価格路線という方向性からは信じられないくらい、しっかりとした王道的な旨味が特徴的な煙草となっています。それゆえに、タール数値の高さと相まって万人受け要素は非常に希薄ですが、この手の製品を未だに愛したいという客層の心は掴めそうな仕上がりとなっていることは確かです。

 あえて高タール版は万人受け路線のライト版の延長とはせずに、客層の個性を汲み分けているようにも思えますね。

 この手の製品は、最近の他社先行製品だとラッキーストライクのエキスパートカットのTar14mgや、ラークのスマートプラスのTar14mgなどが該当するかと思います。あれらはタールバリエーションと共通して、あからさまなほどに「万人受けの吸いやすさ」を狙って仕上げられている製品でしたね。それゆえに、安さのみが個性となり「面白味や味わい深さ」には欠く印象も否めなかったことでしょう。

 この煙草は、その点を既に発売しているライトスモーカー向けのライトシリーズに丸投げしているような印象です。

 だからこそ、この御時世で未だに高タール銘柄を選び続ける硬派な嗜好性の愛煙家に満足してもらえるようなキャラクターを別路線で狙っているわけですね。取り分け、未だに高タール銘柄を主喫している方というのは、個性を重んじる傾向にあると思いますから。その点では、見事に「狙いにいった煙草」と思えるところです。

 そう、先のエキスパートカットやスマートプラスが「置きにいった煙草」なら、この煙草は正しく「狙いにいった煙草」なのです。

 決して軽くもなければスッキリといった印象も無い煙草ですが、その代わりに王道的な、今の喫煙市場が忘れてしまったような煙草らしい旨味が楽しめる煙草なのです。

 何というのか、私的にはキャメル好きやJT銘柄好きなどよりは、ラークのフルフレーバーが好みの方こそマッチしそうな感じです。この「ごちゃっとした感じ」が、どこかラークを彷彿させる味わいだったので。

 ラークのカオスから辛みを抜いたら、この煙草になりそうな感じでしょうか。

 何というのか、先に発売しているキャメル・ライト・ボックスに対して「つまらない」と思った方こそ、はまりそうな煙草なのでした。

 シリーズなのにね。もはや異母兄弟のような感じなのです。

 あ、ドイツ製キャメルよりも雑味が少なく、その点では喫しやすいと言えますよ。

 この比較的安価な価格で、これだけ王道的な煙草の旨味を楽しめるのなら、中々に良いのではないでしょうか。

 下手な高級銘柄と比べても、遜色ないような仕上がりなのです。

 ただし!

 燃焼速度は非常に速い部類です。同シリーズのキャメル・ライト・ボックス系と比べても、かなり速いと感じました。風の吹くエリアで喫する場合などでは顕著で、一昔前のラッキーストライク並みに燃え進みます。

 フィリップモリス銘柄の200%、ナチュラルアメリカンスピリット銘柄の400%。そんな感じで燃焼していきます。

 この辺りは、低価格に妥協するしかないでしょう。

 まぁ、私の場合は、ちょうど良いと感じる速度ではありますが。

Nutrition Facts
Serving Size: 1 Cigarette
Tar12mg Nicotine1.0mg
Strictly No Taking. Don't smoke until you are 20 years old.lol


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