Garam Surya 36 を吸ってみた

ガラム・スーリヤ・缶(36) の喫煙感想

 ガラムのオリジナルは缶詰めパッケージのTar42mg。紙巻「ガラム・スーリヤ・缶(36)」を吸ってみた。


銘柄概要

 ガラムはインドネシアの地煙草である丁子煙草の有名ブランドです。ブレンドに丁子を使った独特の煙草であり、クローブシガレットやクレテックシガレットなどとも呼ばれるカテゴリーですね。丁子煙草は現地の方が肺などの痛みを緩和するために煙草へ丁子を混ぜたことが起源となっているとかで、東洋医学っぽい雰囲気を漂わせるエピソードがあったりなかったり。

 この煙草は、そんなガラムの36本入り缶詰めパッケージな製品で、タール数値もTar42mgとガラムのラインナップではトップタールな製品となります。異様に高いタール数値はショートピースのTar28mgを軽く越えていますが、丁子煙草は基本的にタール数値の高いものが多いということも特徴の1つとなっているため、もはや知っていれば何も違和感は無いことかと。

 ちなみに、ガラムにもメンソールバリエーションやタールバリエーションはラインナップされていますね。このTar42mgのスーリヤの下には、Tar33mgのスーリヤ・マイルドとTar18mgのヌサンタラやTar15mgシグネチャーが続き、それぞれにメンソールバリエーションが付帯しているのです。ただし、このオリジナルポジションのスーリヤのみは、ノンメンソールのみのラインナップとなっているようです。

 また、煙草で缶詰めといえば、ここ日本では缶ピースこと「ピース(50)」という製品が有名ですね。それはショートピースこと両切りの「ピース(10)」という製品の50本詰めという、いわゆる入り本数違いのバリエーションとなっています。しかし、この缶詰めガラムは単なる入り本数違いではなく、オリジナルの製品であるということが特徴となっているのです。

 ぱっと見では箱詰め16本入りで売られているガラム・スーリヤ・マイルドの入り本数違いのように見えますが、製品名もガラム・スーリヤと「マイルド」は冠していませんし、何よりタール数値がTar42mgとスーリヤ・マイルドのTar33mgとは異なります。ピースのように入り本数やパッケージ違いのバリエーションではなく、いわゆるタールバリエーションとなっていますので、その点は留意が必要ですね。

 ガラムのイメージカラーでもある赤色を基調とした感が印象的なパッケージは、サイズを例えるのであれば190gの缶コーヒーを少しだけ大きくしたような程度でしょう。ガラムの起源でもある塩の倉庫がデザインされた缶にはMildと冠さない素のSuryaと記され、36本詰めであることを伝えるために36 FILTER KRETEK CIGARETTESとも記されています。

 インドネシアには非常に多くの煙草メーカーが存在するそうですが、このガラムはパッケージにDIPRODUKSI OLEH PT,GUDANG GARAM Tbk. KEDIRI-INDONESIAとガラム製であることが記されています。塩の倉庫で煙草製造を始めたことから「塩の倉庫」という意味であるGUDANG GARAMというメーカー名になったということは有名な話ですね。

 淡い金色のキャップにも塩の倉庫のイメージがデザインされています。同じように缶パッケージを採用しているピース(50)よりも、こちらのガラムの方が缶らしさに溢れるパッケージのように思えますね。中々に堅牢さを覚えさせる硬さの缶は、使い終わったら手元に置いておきたくなるようなパッケージなのです。

 入り本数などはデザインされているものの、特にタール数値などはデザインされていません。さり気なくタール42mgとニコチン2.1mgという怒涛の成分表示が小さな字で記されているだけですね。ガラムでは最もポピュラーであろう直下のタールバリエーションのスーリヤ・マイルドがTar33mgですから、その差はTar10mgに迫ろうとしています。

 缶全体に施されている厚手のビニール外装を取り除けば、淡い金色のキャップを取り外すことが出来ます。そのキャップの内側は缶ピースのようなアルミの密閉シールは施されず、落とし蓋のように素敵な夕日とメッセージがデザインされた紙が落とされているだけとなっているのです。密閉シールが施されていない点は良し悪しも人によりけりでしょうけれど、その代わりにキャップの噛み合わせは缶ピースよりも良いものとなっていますね。

 ちなみに、落とし蓋に記されている「Temukan citra kretek sejati dalam Gudang Garam Surya!」というインドネシア語は「ガラムにおけるクレテックの象徴との出会い」みたいな意味だと思います。きっとガラムというメーカーはクレテックのイメージとして、このような情景をイメージしているのでしょうね。その下の「This is the real kretek for the real smokers!」は察しの通り「これは真の喫煙者のためのクレテックである」といった意味でしょう。キャップを手に取れば目の当たりにする光景であり、これは中々に素敵な落とし蓋なのです。

 落とし蓋を取り除けばシガレットが現れます。缶ピースと比べるとタイトさには欠ける詰められ方ですが、取り出しやすいように工夫がされている点は好印象なのです。

 シガレットのデザインは直下のタールバリエーションであるスーリヤ・マイルドと共通したものとなってます。独特の色味が特徴的な茶系のフィルターチップに金と赤のラインと、巻紙には多色のスタンプでガラムのロゴがデザインされているのです。ぶわっと香る甘い香りとともに、視覚的にも異国情緒を感じさせてくれる素敵なデザイン。

 ちなみに、この煙草は非常に特殊なサイズのシガレットとなっています。細身でキングサイズ相当なシガレットが何とも小振りであったスーリヤ・マイルドとは打って変わり、こちらは一般的なシガレットよりも太い上に100'sシガレット程度の長さを有する巨大なシガレットなのです。実際に手にすると中々の大きさと覚えるはず。

 また、Tar42mgという点から当たり前と思うかも知れませんが、仕様としては空気穴も無くプレーンフィルターとなっています。


吸ってみた感想・味・香り

 この煙草は、大まかにはガラムらしい味わいでありながら、人気のスーリヤ・マイルドと比べると少しの違いが分かりやすい煙草となっているのです。

 まず、シガレットの香りなのですが、これはガラムらしさに相変わらずといったところですね。丁子煙草らしいクローブの香りとフルーツソースのような香りが特徴的な、何とも甘さに際立つ香りとなっているのです。開けたての時点では箱詰めのスーリヤ・マイルドと程度に大きな違いも感じないのですが、やはり缶詰めということもあり、香りの保持力は高そうかな。

 このフルーツミックス味のガムのような、はたまたソース焼きそばのような、何とも異国情緒に溢れる素敵な香りは丁子煙草ならではです。

 いざ喫してみると、ただでさえ異様と言えるTar33mgのスーリヤ・マイルドよりも更に高いTar42mgですが、やはり第一の感想は「恐ろしいタール数値のわりには軽快だなぁ」という、スーリヤ・マイルドと同じくな仕上がりとなっていますね。特に巨大なシガレットであるために喫し始めの方は火種も遠く、小振りなシガレットであるスーリヤ・マイルドよりも軽快な吸い心地であるとすら思えるほどです。

 喫味の方は、甘い香りに柔らかながら豊かなフルボディ感が何とも素敵であり、味わいも非常に甘さの際立つものです。フィルターチップの甘味と相まって全体的に甘さに一辺倒に仕上げられた味わいは、何とも喫しやすい煙草となっていますね。シガレットの香りが、そのまま喫味となっています。そして、そこにフィルターチップの甘味が合わさっている感じかな。この柔らかく甘さに際立つ味わいこそが肝であり、フルボディながらタール数値のわりには吸いやすいという印象をもたらす理由となっているのでしょう。

 しかしながら、喫しやすいからと吸い続けると喫煙後には確かな重さが迫ってくるため、この点は要注意なのです。喫煙後は唇に残る甘味とともに甘い余韻を楽しみながら幾らか気を紛らわすことが出来ますが、自制心を確かに無理な吸い方は避けたいところですね。美味いからこそなのですが、かなり危険な煙草なのですよ。

 また、箱詰めのスーリヤ・マイルドとの違いですが、大まかには同じキャラクターとなっています。強いて言うなら、大きなシガレットサイズによるのかスーリヤ・マイルドよりもボディに広がりがあり、質感や甘味が優しく柔らかいものとなっている感じでしょうか。フィルターチップの甘味も、心なしかスーリヤ・マイルドと比べると穏やかであるように思えますね。スーリヤ・マイルドは小振りなシガレットであるため喫し方に気を付けないと辛味が突出しやすいように思えましたが、こちらのスーリヤは辛味が目立ちにくいため、この点も味わいに差を生んでいる気がします。

 何と言うか、ボディの密度感はスーリヤの方が明らかに豊かなのですが、全体的には角の立ちが無く穏やかな質感と味わいに仕上げられているため、意外にもスーリヤの方が口当たりが良いのですよ。もちろん、このスーリヤを喫した後にスーリヤ・マイルドを喫すると、マイルド相応に味わいのマイルド化も感じられますが、スーリヤ・マイルドはスーリヤと異なり辛味も強く感じるため、全体的にはスーリヤの方が喫しやすいとすら思えるほどです。スーリヤの方が煙の「あたり」が柔らかいという印象を覚えるでしょう。

 いうなれば、上品な味わいに仕上げられたガラムですね。それはスーリヤ・マイルドが少し野暮ったいように感じられるほど。

 総じて、やや煙草感も豊かに感じられるバランスなガラムとなっています。スーリヤ・マイルドよりも煙の質感が柔らかく、甘味の毛色もソレより穏やかなキャラクターとなっているため、むしろスーリヤ・マイルドよりも喫しやすい煙草と言えるでしょう。よりガラムらしい個性を感じられるという点においてはスーリヤ・マイルドの方が優れているかも知れません。しかしながら、これがオリジナルだと思うならば、スーリヤ・マイルドは少し嫌に甘味がブーストされているようにも思えたりしますね。

 何と言うか、気持ちが穏やかになる味わいなのですよ。のんびりまったりなガラムなのです。スーリヤ・マイルドは味覚として甘さが最大限に引き出されていますが、こちらのスーリヤは打って変わり香りにおける甘さが最大限に引き出されている仕上がりと思います。

 どちらがオススメかと訊かれれば、これがまた答えに困るほど両者は似ていて異なります。スーリヤが好きならスーリヤ・マイルドは甘味が濃すぎると思うでしょうし、スーリヤ・マイルドが好きならスーリヤは少し味気なく感じるでしょう。それほどまでに、似ていながら異なるのです。軽快に甘味を全力で楽しみたいならスーリヤ・マイルドを、煙草らしい豊かさをベースに丁子煙草の味わいを楽しみたければスーリヤを。そんな感じでしょうか。

 また、燃焼時間は恐ろしく長いです。もとよりガラムは燃焼時間が長めですが、このスーリヤでは大きなシガレットサイズと相まって、更に長い燃焼時間が確保されているのです。おおよそ一般的なシガレットの二倍と言って良いでしょう。

 いやはや、素敵な煙草ですね。私的には、スーリヤを喫してしまうとスーリヤ・マイルドは甘味と外郭的な強さばかりで、内包される豊かさに乏しさを覚えてしまいました。より華々しくスイートなのはスーリヤ・マイルドと言えるでしょうけれど、柔らかく穏やかなスーリヤの豊かさには目を見張るものがあるのでした。

 これを喫さずして、ガラムは語れませんね。

 あ、そうそう、この煙草は灰の毛羽立ちが荒くパチパチと燃える丁子煙草の特性と大きなシガレットという仕様もあり、たまに「ぽふっ」と灰が飛び散る様が可愛かったりします。灰は出来るだけ落とさずキープしたい煙草ですね。

Nutrition Facts
Serving Size: 1 Cigarette
Tar42mg Nicotine2.1mg
Don't smoke until you are 20 years old.lol


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