かっぱの純米吟醸 を飲んでみた

飲酒に関する内容を含みます



 概要:日本酒「かっぱの純米吟醸」のレビュー

かっぱの純米吟醸

 茅ヶ崎にある湘南で唯一という酒蔵は「熊澤酒造」がリリースした、地元密着型な日本酒。日本酒「かっぱの純米吟醸」を飲んでみた。


 湘南は海だ?シラスだ?サーファーだ?それは余所者発想よ。

 河童

 淡水なんだな、これが。

 まず、この酒を仕込んでいる熊澤酒造というのは明治五年に創業した酒蔵だそうで、メーカーウェブサイトで「湘南に残された最後の蔵元」と謳っている通り、現在の湘南では唯一の酒蔵となっているようです。昔は、他にも酒蔵があったのかな?

 そして、この「かっぱの純米吟醸」という酒は、茅ヶ崎には酒米が無いために地元産の酒米で酒が仕込めないことに疑問を感じていた杜氏さんと、市内の耕作放棄地を上手に活用したいという思いを強めていた地元農家さんとが、それぞれの想いの先を一致させて企画に至った製品なのだとか。

 製品特徴としては「オール茅ヶ崎産」を謳っていて、酒米・酵母・水と、味わいに関わる要素にはすべて茅ヶ崎産のものを使用して製造されています。酒において「地元密着」という特性は、それこそ米や水に恵まれた有名な酒処では有利に仕事を行えるために当たり前のことなのかも知れませんが、先の通り「湘南に残された最後の蔵元」という言葉の通り、この湘南では非常に大変なことだったのかも知れません。

 環境に恵まれているから良い仕事が出来るというのか、逆境だからこそ良い仕事をしなければいけないというのか、そんな違いかな。

 ちなみに、この「かっぱの純米吟醸」は2,500本の限定生産となっているそうで、次回は未定とのこと。

かっぱの純米吟醸

 先に発売している「量が少ないですが少し河童が飲みました。」というボトルで物議を醸した「かっぱのどぶろく」と同じように、この酒でも河童がデザインされています。

 酒蔵の近くで発祥したという「河童徳利伝説」に因んでいるらしいのです。

かっぱの純米吟醸

 キャップには湘南の名所でもある「烏帽子岩」のイラストと「湘南の蔵元」という文字がデザインされています。烏帽子岩は、茅ヶ崎の沖合にある姥島(うばじま)という岩礁群の中で最も大きい烏帽子のような形の岩礁で、一応は名所となっている軍隊射撃標的として使われた岩礁とのことですね。

かっぱの純米吟醸

 原材料表示では精米歩合60%のアルコール分16%の他に、全量茅ヶ崎産の「五百万石」という品種の酒米が使用されていることが分かります。その他には地元密着という製品特性もあり、ちょっと珍しい酒米生産者の記載もあります。

 ちなみに、五百万石という酒米は日本で最も使用されている酒米らしく、新潟の銘柄を中心に色々な銘柄でも使用されているようで、スッキリとした飲み味の日本酒を仕込むのに向いている酒米なのだとか。

 K都府のように「Kの酒は!Kの水と!Kの米で!Kこそ最上!」みたいなブランド化ゴリ押しというわけではない様子。


味・香りについて感想



 とりあえず、酒のことは分からないなりに常温で飲んでみました。

 まずは香りなのですが、とっても爽やかな白ワインにも似た甘さの香りがほのかに立ち、酒臭いといった香りは量感とともに非常に控え目となっていますね。同じく熊澤酒造の銘柄なら「湘南」とか「鎌倉栞」が近いように思えますし、酒の香りが苦手な方でも受け入れやすい香りではないでしょうか。

 とっても良い香り。

 お味の方はというと、やはり非常にフルーティーな白ワインにも思える味わいとなっていますが、そこは熊澤酒造と言わんばかりに、中々に酒らしい凄みも存分に含まれています。アタリの柔らかい非常に軽い飲み口なのですが、どうして「酒らしさ」も目立つ味わいは確かな熊澤酒造らしさに際立っているのです。流行りの「水のような系」ではなく、流行りと逆行した「酒らしい酒」でありながら、ちょっとだけ前者のような口当たりは柔らかく飲み口は軽快に仕上げられているため、程好い飲み応えにて楽しめます。

 と言うか、香りの広がり方や口当たりだ何だが、まるで飲み慣れている紹興酒のような感じがしないでも。

 ただ、味わいからして肴は紹興酒とは異なり、ソースたっぷりとかコッテリしたものよりも、アッサリしたものとかシンプルな乾き物の方が合うように思えますね。チョコレートとかドライレーズンみたいな甘いものでも良いと思う。

 正直なところ、私は熊澤酒造はビールこそ正義と思っていたのですが、この酒は中々に好印象だったりします。私のように、紹興酒が好きなオトナは好きになるかも知れない味わいです。

 ちょっと、冷やしても飲んでみたくなりました。冷やして飲んだら追記しようと思います。


以下、冷やして飲んだ追記

 冷やすと、わりと「いつもどおりな熊沢」といった感じになりました。

 流行りと逆行する酒らしい酒というのか、フルーティーな白ワイン感が失せて辛口淡麗なのにモサッとした酒に。食中酒でも障りなくイケますが、ちびちびと常温で少量の肴と一緒に召すのが一番かと。


▼あわせて他記事どうぞ▼
珍食品レポートの一覧へ戻る