Peace (10) を吸ってみた

喫煙に関する内容を含みます


 概要:紙巻「ピース(10)」の喫煙感想

Peace (10)

 缶入り50本詰めのシガレットが手軽に楽しめる10本詰めの両切りピース。紙巻「ピース(10)」を吸ってみた。


 国産煙草の重鎮と言わんばかりのポジションに君臨し、もはや異論は認められないであろうステータスを名実ともにするような煙草です。この煙草を不出来と言う喫煙者は、この極東列島には存在しないのではないでしょうか。

 そんな煙草は「ショートピース」やら「両切りピース」などの愛称で親しまれている「ピース(10)」という煙草で、製品名に冠される「(10)」という表記は入り本数を示していたりします。これは「ピース(50)」という50本詰めの缶入りパッケージが存在するためでもあり、その50本詰め缶入りピースの10本詰めバージョンが「ピース(10)」というわけなのですね。

 そんな二種類のパッケージで展開される両切りのピースは、中に詰まっているシガレットそのものは両方とも同一品となっています。しかしながら、缶入りの方が保存性に優れているために味わいも上々であるなんて言われているそうです。

 ちなみに、今でも一貫して踏襲されているピースがピースたる所以の1つでもある「オリーブを口にした鳩」のパッケージデザイン。これは後に多くの広告に影響を与えた「ブルズアイ」と呼ばれる手法によるラッキーストライクのパッケージと同じデザイナーが手掛けたことでも有名なのだとか。

 それまで機能性一辺倒であった工業製品に「デザイン性」という付加価値観を持たせたインダストリアルデザインのパイオニアであり、その活躍が「口紅から機関車まで」のフレーズでも有名な「レイモンド・ローウィー」というパリ出身のデザイナーなのです。

 また、検索エンジンで「Raymond Loewy」と検索すると、主に自動車や鉄道といった方面で活躍していた様が見てとれます。そんな彼がデザインした小さな箱が脈々と小さな列島で受け継がれていると思うと、何だか感慨深いものがあるのではないでしょうか。


Peace (10)
Peace (10)

 同社のホープ銘柄と同じようなサイズのパッケージは、非常に小振りなものとなっていますね。ピースのテーマカラーでもある濃紺色が何とも言えない品格と重厚感を漂わすパッケージではないでしょうか。

 クラシカルなキャラクターが、他の煙草とは重みが違いますと言わんばかりのパッケージなのです。


Peace (10)

 この煙草で採用されている「クラムシェル」という名称のパッケージは、引き出しのように開閉させるパッケージとなっているのです。中包装紙に使われている銀紙も多くの煙草とは少し質感の異なる、ステレオタイプ的な銀紙となっていますね。

 ところで、この煙草の中包装紙なのですが、以前は銀紙の内側に白い薄紙を配した二重包装であったような気がするのですが、これは記憶違いでしょうか。

Peace (10)

 このように、中包装は銀紙一枚によるものとなっています。両切りシガレットながら、ぴっちりと巻かれたシガレットは葉こぼれも少なく非常に良好です。

 また、これは計量比較したわけではないのですが、この煙草は聞く話だと他の多くの煙草よりも煙草葉を多く使ってるのだそうですね。中々の本気煙草なのです。

Peace (10)

 巻紙と煙草葉のみで構成された両切り煙草なので、フィルターチップはありません。その巻紙にはピースのロゴがスタンプされていますが、何てこともないデザインであるはずなのに風格を感じさせる素敵なシガレットなのです。

 シンプルながら弾力に富むシガレットは中々に頼もしい品質を感じる作りであり、やはりピースクオリティといったところ。

 同じ両切りだからといって、ゴールデンバットなどとは葉の詰まりが格段に異なりますね。


味・香りについて感想


 この煙草は、日本の煙草を嗜む者のなら誰もが「美味い」と唸るピースの総本山らしく、非常に素敵な煙草なのです。

 まず、小降りながら重厚感の溢れる品の良いパッケージを開封してシガレットの香りを楽しんでみると、何ともピースらしい品のある甘い香りに酔いしれることが出来ます。上質なバージニアリーフをメインにブレンドするピースは、やはりバージニアブレンドらしい甘さの香りでありながら、しっかりとピースらしい絢爛さを感じさせる個性的な香りと言えるでしょう。

 しかしながら、ボックスパッケージで展開されている他のピース銘柄と比べると瑞々しく絢爛な華やかさが抑えられている印象の香りではあります。それにより量感こそ少し控え目に感じられますが、よりシルキーな柔らかさに富む非常に上品な香りはというと、同じピースという煙草は数あれどショートピースの最大の特徴なのです。

 喫味の方も、やはりフィルターシガレットで展開されているピースと比べると瑞々しさや絢爛さは控えめに感じるものの、その代わりにシルクのように上質な質感と最上に豊かな香ばしさに全力で傾倒して味わいを呈してくれている感じでしょうか。この味わいは「こってり」や「濃厚」などという野暮なものではなく、これこそ「豊か」と言うに相応しい上品な甘さと香ばしさが非常に心地の良い煙草となっているのです。

 今となってはノンフィルターと驚異のタール数値に怖じ気付くことも多いだろうシガレットであることは否めませんが、その実は豊かな煙量による香り高い味わいであり、苦味や渋味にヤニっぽさという嫌な要素は微塵も含まれません。突出した数値のわりには、むしろ吸いやすさを覚える味わいではないでしょうか。

 正しい喫し方さえ心がければ、これらの現代ではネガティブとも捉えられるファクターは一変して、最大限のポジティブファクターであることに気が付くはずです。

 そして、両切りではありますが、先の通りゴールデンバットなどとは異なり葉の詰まりが非常に良いです。それにより両切りでは多くに煩わしいと思われる「口に葉が入る」というネガティブファクターも大して気にならないでしょう。

 また、フィルターが無いがゆえに「キツそう」という印象を喫煙前に抱くかも知れませんが、正しくクールスモーキングを心掛けて喫すれば「キツさ」が「心地の良い豊かさ」に昇華されます。これは表示される数字よりも、喫する者の次第と言ったところでしょう。

 この吸い方に対してリニアに応える両切りならではの感覚は、ひと度でも味わうと優秀ながら応答が均一的なフィルターシガレットでは満足することが出来なくなってしまいそうなほどに「病み付き」な要素を孕んでいるのです。むしろ、フィルターシガレットでは辿り着けないであろう高みに達することが可能ではないかとすら思えてきますから。

 総じて、この煙草を喫すると、既に「非常に良い」という印象であったフィルターシガレット仕様のピース銘柄ですら、フィルターや空気穴による硬質な質感に上品さや豊かさを少しでも欠いていたと思えてしまうくらいです。喫煙後の余韻も香ばしい甘さが非常に心地よく、これだけのタール数値なのに後味が嫌に残らない仕上げには天晴れなのです。

 過去の大衆が求め喫した史実も納得の、素晴らしい「日本の煙草」なのでした。

Nutrition Facts
Serving Size: 1 Cigarette
Tar28mg Nicotine2.3mg
Strictly No Taking. Don't smoke until you are 20 years old.lol


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