湘南ゴールド を飲んでみた

Shonan Gold

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 神奈川県産が開発した柑橘類である「湘南ゴールド」を使用したスイートビール。

 「湘南ゴールド」を飲んでみた。

 神奈川県が足掛け12年で開発した柑橘類の果物は「湘南ゴールド」という品種を使用した「湘南ゴールド」という名のフルーツビール(フレーバービール)です。うん、ややこしい。

 そんな湘南ゴールドは神奈川県の厚木市にある「サンクトガーレン有限会社」というブルワリーの商品であり、そのサンクトガーレンは「神奈川産”幻のオレンジ”使用。飲んだ後のゲップまでオレンジ!」という中々なキャッチコピーを打ちだしていたりします。キレだとか苦味だとかホップだとか、それら常套句は「何処へ?」と言ったようにビールらしくないコピーには、非常にワクワクしてしまいます。

 また、同社の情報によると苦味は非常に少なく、とっても軽快な飲み心地のビールだとのことです。このような点から、何ともフレーバービールらしく日頃はビールを忌避するような大人でも楽しみ甲斐のありそうなビールとなっていそうですね。

 そうそう、誰もが知っている「とりあえず生で」というセリフからも分かるように「国民的大衆酒」とも言えるビールですが、最近は好まない方も増えてきたらしいですね。私は「とりあえず生で」どころか「ずっと生で」という人間なので、一抹の悲しさを覚えなくもありません。しかし、そんな今ではビール離れした個性が特徴的な「フレーバービール」こそ、若者を中心とする「ビール離れ」を挽回する新ビール文化として注目されているのだとか。

 いやん。でも面白そう。

Shonan Gold いわゆる「地ビール」で見かけることの多い小瓶サイズのビール瓶に詰められていて、内容量は330mlとのことです。希望小売価格は429円とされているので、地元の湘南ビールよりも少しだけ量が多く、そして少しだけ安いのです。サンクトガーレンの地ビールは、地ビールの中でも比較的安価にて買えることも多いので、それも人気の秘訣なのかな。

Shonan Gold Shonan Gold

 ボトルの首に貼られたラベルでは、このビールの特徴ともなっている「湘南ゴールド」という果実について簡単な説明が以下のように記されています。

 湘南ゴールドは神奈川県生まれ、西湘育ちの神奈川県オリジナルみかんです。神奈川県西部を中心に、ごく一部でしか流通していない幻のみかん「ゴールデンオレンジ(黄金柑・黄蜜柑)」と「温州みかん(今村温州)」の掛け合わせです。糖度は12%前後で甘み十分。そして特筆すべきは、香りの良さ!その爽やかでジューシーな香りは、他の柑橘類を圧倒するほど華やかです。

Shonan Gold さり気なくラベルには「SUMMER EDITION」と記されていますが、この湘南ゴールドというビールは4月14日のオレンジデーから9月末頃までの限定販売となっています。そのオレンジデーというのは、2月14日のバレンタインデーと3月14日のホワイトデーに続く「第三の愛の日」なんだとか。やましい記念日ではないので、あしからず。

 ちなみに、醸造元の「サンクトガーレン有限会社」は、日本における「地ビール(今風に言うならクラフトビール)」の先駆け第一号とも言われる地ビールメーカーだったりします。

 というのも、それ以前の日本では「大日本麦酒に由来する国との癒着だろ」と思ってしまうほどに厳しい酒税法があったわけです。酒類であるビールというものを売り出すに必要な免許には「法定最低製造量」という要件が存在するのですが、それが当時では「ビールにおいては年間最低醸造量2,000kl以上」という厳しい内容であったのでした。2016年の今では「年間最低醸造量60kl以上」という内容に改定されていることからも、その量の異様が新規参入の大きな障害となったことは容易く想像することが出来るでしょう。

 そして、なまじ「独占禁止法とは何か?」と言わんばかりの日本を脱し、サンフランシスコにオープンしたブルワリーパブこそがサンクトガーレンの起源となるのだとか。アメリカでの日本人ブルワリー開業という世界的な珍しさと、その経緯における日本のビール産業の嫌らしさは世界的にも注目されたとかで、国も酒税法もとい免許要件を改め今に至るのです。

 サンクトガーレンが事を起こさなければ、未だに日本のビール業界は国家諸々で独占的な状態だったかも知れませんね。酒蔵がビールを造り始めることも無ければ、洋酒屋がビールを造り始めることも無かったわけです。

Shonan Gold この「湘南ゴールド」はプレミアムビール(生ビール)と同じく麦芽100%で製造されていますが、フルーツを使用しているため「ビール」と表記することが出来ませんので、表記は「発泡酒」となっています。税率は生ビールと同じです。とのことですが、社歴を知ると何だか国に対する当て付けのようにも見えてきますね。

飲んでみた感想・味・香り

 このビールは、すごく軽い。

 グラスに注いで香りをチェックしてみると、この時点では特に「オレンジ!」という香りはしませんね。ただし、だからといって「ホップ!」という香りもしません。非常に控え目に甘い香りがする程度で金属的な香りも感じられないため、日頃からビールの香りが苦手という方なんかには非常に向いていそうな感じを受けて取れます。やや不安になるくらい香りが弱いですね。

 で、くいっと飲んでみます。そうすると、口に含んだビールが舌に触れた瞬間に「お、このビールは絶対に軽いぞ」というようにピンとくるでしょう。香り用のアロマホップも「柑橘系の香りが特徴のものを使用している」とメーカーが謳う通り、ものすごく自然に全ての香りが調和しているのです。味わいの方もホップの苦みが非常に控え目ですし、とっても爽やかで軽快な飲み口のビールに仕上がっていますね。それはもう、めちゃくちゃ軽いです。

 そして、肝心な湘南ゴールドの風味はというと、それはビールを口に含んでから少しだけ遅れて立ち上がる感じとなっています。その香りは意外にも量感は多すぎずと良い塩梅であり、柑橘ピールのような「ほろ苦い」という風味がビールと非常に相性の良いこと。このビールでは湘南ゴールドを丸ごと使用しているとのことですが、やはりピールのキャラクターが最も強く現れているように思えます。鼻腔を抜ける香りもビール感は非常に控え目で、ほのかに柑橘の香りが感じられる独特なものなのです。

 美味くて軽くて飲みやすく、これは非常に良いです。フレーバービールだからといって湘南ゴールドのフレーバーばかりが突出してくるのではなく、それら以外の要素を抑えて湘南ゴールドのキャラクターを際立たせているバランスが良い感じなのです。湘南ゴールドのための絶妙な差し引きでキャパシティを超えずに完成しているからこそ、とっても親しみやすい味わいのフレーバービールに仕上がっているのだと感心してしまいます。

 総じて、ビール好きはもとより、ビールのホップによる味や香りが苦手という方も楽しく飲めるビールだと思います。ビール嫌いの人が苦手としているだろう要素、詰まるところホップらしい要素が「湘南ゴールド」という柑橘果実に挿げ替えられている感じなのです。

 食べ合わせるのなら、肴はポテチで決まりですね。柿ピーとかイカって感じでもないですし、酒が主役なのに面倒な料理に手間も掛けたくないですし。

 イメージしやすい大手メーカー品で例えるのなら、プレミアムモルツの傾向が好きな方は気に入るかと思います。


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